部会長所信

2023 年度 日本青年会議所 石材部会 部会長所信
一般社団法人 丹波青年会議所 所属
籔内 智典
Change to Protect

~守るために変える~

基本方針
石への認識を変える
視点を変える
繋がり方を変える
会員の参加意識を変える


■はじめに
古来より宗教的、文化的、芸術的な造形物、建造物の材料として石材は多用され、供養、
信仰などの精神性や伝統、文化を支える一端を担ってきました。造られたものに込められた
想いは、歴史を越えて繋いでいくのが石材の核心であると私は考えます。そしてそれを守っ
て来たことが石材業界の存在意義の一つであるはずです。
今、日本の石材業界には、市場の成長期に多くの企業が誕生し、14,000 以上も存在する
と言われています。一括りに石材業界と言っても、墓石、建築、石積など多様な分野があり、
個人事業主から法人企業まで、業務や経営の形態がさまざまであります。また、業界団体も
全国から市町村レベルまで、大小多数の組織が存在しています。故に、学びや新しい考えを
得る機会に個人差や、業界に対する考え方の違いに大きなバラつきが起きているのではな
いでしょうか。業界全体が纏まりに欠けた状態では、問題点の共有とその対応に連帯感を持
って有効的に行動ができないと考えます。未来の石材業を担うわれわれが、誰かに頼るだけ
ではなく、自分たちで創り上げていく力が必要になります。
そのために、われわれが何を変え、何を守るのかを突き詰めて考える。その上で、時代の変
化を認識し、将来を捉え、能動的に変えていく力を手に入れると共に、造られたものに込め
られた想いを繋ぐという、石材の核心を守り残せるように成長する。引いては業界に意識の
変革をもたらす存在となり、変化を起こし続ける必要があるのです。


■石への認識を変える
石器時代という言葉があるように、人類にとって石とは初めて利用した道具の一つであ
ります。人々は石の価値を見出すことで、これまで数多くの物事に利用してきました。現代
においても主要な資材として存在しており、人の歴史に深く根ざしています。長き歴史の中
で多様な石材の仕事が生まれ、仕事の数だけ石の使用方法や加工方法に違いがあり、魅力や
価値も変わります。この歴史があり、多様な仕事がある石を生業にしているわれわれですが、
まだまだ知らない価値があるはずです。価値を知り、特性や技術を共有することが出来なけ
れば、石材を洗練させることは難しくなり、石以外の何かに取って変わる可能性が高いでし
ょう。そのために、われわれは石材の存在意義を再考することで、石への認識を変え、改め
て価値を見出していく必要があります。


■視点を変える
時代の変化から将来を捉えるためには、物事を俯瞰してみる必要があります。そのために
は、定点的な位置からではなく、視点を変えなければみられません。
石材業界の立ち位置を考えたとき、独立した市場が存在しているように思いますが、建設、
供養などといった、他の業界と市場が重なる部分も大きくあります。その変化は必ず連動し
て石材業界に波及をもたらすことになります。そこにわれわれは目を向ける必要があるは
ずです。関連業界のものを取り入れることや、動きや変化にアンテナを張ることは、石材業
界を別角度でみることになり、それが俯瞰して業界をみることに繋がるのです。そして、今
後どのような行動を起こしていくのかを考え出せる力にもなります。


■繋がり方を変える
われわれは同じ青年会議所という枠組みの中にいる若者たちが、同じ業界人として部会
の理念に共感して集まり、活動を行っています。部会の目的は石材部会宣言そのものであり、
われわれはその目的のために活動を通して成長の機会を作り出しています。この活動をよ
り強固なものにするためには、共に学び成長できる仲間を増やすことが必要になります。
現在、部会員は各地に居ますが、日本全国を網羅できているとは言い難い状態です。また、
入会する部会員も偶然人づてに部会の存在を知り、入会したという方も多いはずです。同じ
青年会議所というネットワークを十分に生かしきれていないのです。また、われわれが気づ
いていないだけで、昨今は石材業界以外にも石材に関わろうとする関連業種の方々もおら
れるはずです。まずは全国に広がる青年会議所のネットワークを十分に利用する。また同じ
石材業だけでなく部会の理念に共感できる方を、業種の壁を超えて迎え入れられるように
繋がり方を変える。それによって豊かな研鑽の輪が広がるのです。


■会員の参加意識を変える
われわれの活動は正会員だけでなく、200 名以上の諸先輩方に支えられていることを忘れ
てはいけません。しかし諸事情により事業になかなか参加できていない方々もおられます。
どれほど魅力的な事業を行っても、参加していただかなければ事業の価値を体感できませ
んし、部会の活動の価値も見出し難くなっていきます。その方々のためにも活動の価値を伝
える努力ではなく、伝わる努力をしなければなりません。参加意識をより良く変られるよう
なものを作り出し、発信することで、今以上に価値を見出していただくことが、会員間のネ
ットワークの強化になるのです。


■むすびに
時代の変化を捉え、能動的に変えていく。しかしそこには必ず変えてはいけない、守り通
さねばならない核心となるものがあるはずです。変えるもの、守るもの、これをしっかりと
再考し、われわれが業界の未来を創っていく人財となるのです。そして、業界に変化を起こ
す存在として、時代に即した需要を掘り起こし、存立基盤を強固なものにする。だからこそ
核心を守れるのです。また、供養や信仰などの精神性や伝統、文化を支える一端を担う者と
して、社会的な必要性が高まることで、業界に携わる人々の未来は必ず豊かなものになると
確信します。
部会員一人ひとりが成長できるように情熱を傾け、機会を提供することにより、その成長が
業界の豊かな未来の創造に繋がると信じ挑戦していく所存です。一年間何卒宜しくお願い
申し上げます。